MENU

新着情報

ベンチャー企業・創業支援(海外進出)

2017.6.26

弁護士 松村達紀/Tatsuki Matsumura

1. はじめに

ベンチャー企業の経営者の中には、早期に海外展開を検討している方もいらっしゃるであろうし、また、海外展開に限らずとも、仕入先に海外の会社があるといった場合も多いと思われる。海外展開にあたり留意すべき点を大きくまとめているので、参考にされたい。

2. 海外展開の際の留意点

ビジネススキームの検討とコンサルタント

海外では、それぞれの現地法が定められているため、日本において適法なビジネスであったとしても、必ずしも海外においても適法に行うことができるとは限られない。

このような場合において、許認可等の確認に関し、コンサルタントを使用する場合も多いが、コンサルタントも千差万別であるため、実績のある信頼できる業者を使用することが必須となる。

特に、初めて海外進出を検討する場合には、日本の信頼できる専門家から紹介を受ける等、少しでもリスクを低減するよう留意いただきたい。

契約書の作成

(1) 総論

ベンチャー企業の場合、きちんと契約書を作成せずに口頭の確認のみで契約を締結していることも多いのではないかと思われる。

(国内でビジネスを行う場合であっても、可能な限り契約書を作成すべきではあるが)国内の企業同士であれば、口頭の確認のみであっても認識に大きなズレがないといったことも多いが、海外企業(海外の個人)においては言語・文化の違いがあることから、想定外の事態も生じやすい。そのため、契約を締結する場合には、書面化することが非常に重要である。

また、ベンチャー企業の経営者の中には、とにかく書面化すれば良いと考えている方がいらっしゃるが、契約書の中身がきちんとしていなければ、何の意味のないばかりか、知らず知らずのうちに自社に不利な内容の条項が定められていることも散見される。

このような事態を防止するためにも、各条項の意味内容をきちんと精査するよう留意いただきたい。

(2) 条項別留意点

  • 使用言語

日本語を使用する形で契約書を作成することが考えられるが、取引先企業によっては、正確な意思疎通を図るためにも、あえて英語を使用する形で契約書を作成することも考えられる。また、和文を正本とし、英語の訳文を添付することもあるので、取引先企業に応じて検討いただきたい。

  • 代金の支払い等

海外企業に対しては、日本の裁判所で判決を得たとしても、強制執行(法律に則り、強制的に相手方の財産から債権回収をすること)をすることは容易でない。

そのため、①仕入側であれば、後払いにする(代金の支払い時期を商品の仕入れ時期よりも後にする。)、②販売側であれば、前払いにする(代金の支払い時期を商品の引渡し時期よりも前にする。)といったように、なるべく自社が債権回収リスクを負わないように、支払いサイト等を検討いただきたい。

  • 準拠法・合意管轄

準拠法については、なるべく日本法となるように交渉すべきである(交渉上、難しい場合には、第三国法とすることが考えられる。)。

また、合意管轄については、国内企業との取引に当たっては、自社の本店所在地を管轄する地方裁判所にするといったことが多く検討されるが、海外企業との取引に当たっては、日本の裁判所で判決を得たとしても、強制執行できないことも多いため、裁判ではなく「仲裁」とすることが考えられる。また、具体的な仲裁地としては、シンガポール・香港・日本といったところが検討されるが、取引先がいずれの国の企業であるかといった点に応じて設定することとなる。

海外展開に当たっては、留意すべき点が多数存在するため、現地専門家・国内専門家を含めてチームアップした上で、万全の態勢で進出するよう心掛けていただきたい。

以上

 

2017/06/26        コラム