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音楽的要素のみからなる音商標の登録

2018.08.03

弁護士 松本幸太/Kota Matsumoto

1.はじめに

2017年9月26日、特許庁より、いわゆる新しいタイプの商標のうち、「音楽的要素のみからなる音商標」について登録を認める旨の発表がなされました。

音楽的要素とは、メロディー、ハーモニー、リズム又はテンポ、音色等をいい、今回登録が認められることとなったのは、

① 大幸薬品株式会社の胃腸薬のCMで流れる音

② インテル・コーポレーションの製品(マイクロプロセッサ)のCMで流れる音

③ BMW(車)のCMで流れる音

の3つです。いずれも一度は耳にしたことがある音ではないでしょうか。

https://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/otoshouhyou-hatsutouroku.htm

 

2.新しい商標の活用

従来、商標とは、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合またはこれらと色彩との結合」(商標法2条1項)と定められており、会社名や商品名といったネーミングあるいはロゴ・デザインなど、視覚的に認識できるもののみが保護の対象となっていました。

その後、商標法改正(平成27年4月1日施行)により、商標の定義が、人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」と改正され、色彩のみからなる商標や、音、動きも登録することが可能となりました。

その結果、色彩のみの商標(大手コンビニチェーンの看板の色の組み合わせ)や、動きの商標(大手消臭芳香剤製造会社のキャラクターであるひよこが動く様子)など様々な商標が登録されるに至っています。

ところで、「音」の商標については、商標法改正以降、上記3例以前にも多くの出願・登録がされています。例えば、味の素株式会社のCMの「あじのもと♪」といったメロディが有名です。

しかし、これまでに登録された音商標というのは、歌詞や声が含まれているという意味で、今回の「音楽的要素のみからなる音商標」と異なります。

歌詞や声が含まれない「音楽的要素のみからなる音商標」の登録がこれまで認められなかった理由は明らかにされていませんが、商標の登録のためには「識別力」(自己と他人の商品・役務が区別することできること)が必要であるところ、「音楽的要素のみからなる音商標」は歌詞等が含まれる音商標に比べて「識別力」が弱いと判断されやすいことに一因があると推察されます。

そのような中、今回の「音楽的要素のみからなる音商標」が登録されたことは、今後、様々な「音」についての商標登録の可能性が広がったものと評価できます。

 

3.商標とブランディング

企業にとって商標登録を行うことは、商品やサービスを守ること、ひいては、企業の信頼(ブランド)を守ることにあります。

音や動きといった新しいタイプの商標は、チラシやポスターといった従来型の広告とは異なる新たな発信手段であり、企業のブランド戦略に大きな役割を果たすものといえます。テレビCMといった場合のみならず、例えば店舗で来店者に向けて音楽を流す、顧客がホームページを閲覧した際にPCやスマートフォンから音楽が流れるようにする等、顧客へのアプローチ方法も様々です。また、将来的には、「におい」や「味」といったものも商標の保護対象とされることが検討されています。

当事務所では、弁理士事務所と協力の上、新規商標出願や、既に登録された商標の調査や類否判断、ならびに商品・サービスのブランディングについてのご相談にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

以上

 

2018/08/03        ニュース コラム